どうも明治エラです。
皆さん実験頑張っていますか??
手順(プロトコル)通りにちゃんとやっているはずなのに、なぜか実験で思い通りの結果にならない事ってありますよね。
こちらとしてはちゃんとやっているつもりなのにうまくいかないから、原因不明でイラついて挙句病むみたいな。
でもね、気付いていないだけで、ちゃんとミスっているんだなこれが。
今回は、よくある実験失敗の原因と対策方法を紹介します→→→
プロトコル編

読み違い
あなたは本当にプロトコル通りにやっていると断言できますか。
一行読み飛ばしていたり、単位を読み間違えたりしていませんか。
特に英語で記載されているプロトコルは要注意!!
自分で理解した上で、教授や先輩に聞いてもらい、正しく理解できているか確認すると手堅いです。
簡易プロトコルの罠
研究室内で教えてもらうプロトコル以外に、試薬に付いている簡易プロトコル的なのありますよね。
あれは、大事なところをすっ飛ばして記載していることがあります。
簡易プロトコル以外に、冊子のような詳しい説明書が同封されている場合は、そちらを確認してみましょう。
実は氷上で作業しないといけなかったり、簡易プロトコルにも書いておけよ!!って言いたくなるような大事なことが書いている可能性があります。
そもそもプロトコルが適正でない
プロトコル通りにやっておけば大抵うまくいきますが、なんでも例外は付き物です。
使っている試薬がプロトコルを発行しているメーカーとは違っていたり、研究室の室温、湿度によっても変動します。
使うサンプルが違えばプロトコルも変わります。
りんごを想定して作られたプロトコルがバナナにもそのまま適用できるとは限りません。
そのような場合は、自分でプロトコルを変える必要があるんですね。
これが実験が時間かかる所以です。
計算・単位を間違えている
そもそも単位を読み違えている場合と、計算の過程で桁や単位を間違える場合があります。
プロトコルでは、自分で薬品を調製して試薬にしなければいけない場面が出てきます。
嫌だよねーーー超めんどくさいよねーーー
計算があまり得意ではない人は特に、ここでミスる可能性があります。
10mLが何nLかすぐに言えますか?
計算に自信がある方もない方も、教授や先輩に一度計算過程を確認してもらいましょう。
サンプルの量が適性でない
プロトコルは何グラムのサンプルを想定されたものですか?
プロトコルに書いてある量と同じ量だけサンプルを使っていますか?
プロトコルに書いているサンプル量より、実際のサンプル量が増減すれば、当然用意する試薬の量や反応時間もそれに伴なって変動します。
1人分のレシピを見て、4人前作るとなると材料は等倍になるし、炒める時間も4倍まではいかないけど多少長くなりますよね。
実験も同じです。
技術編
試薬・サンプルの解凍の仕方をミスっている
試薬やサンプルの解凍方法は適正ですか?
例えば、凍結保存しているゲノムDNAを解凍する場合は、70℃の恒温槽に数分浸けてから、氷冷します。
これは、長い塩基配列が凍結保存中に絡まってしまうため、そのまま自然解凍してもその絡まりが取れずサンプルの濃度差が出てしまうためです。
解凍方法を間違えると、試薬/サンプルが傷んだり、実験結果に影響します。
撹拌が足りていない

1μLなど、非常に少量の世界で戦っている場合、特に撹拌は重要です。
試薬を1μLだけ使うとなると、その1μLに欲しい成分が均一に含まれているか、疑って然りです。
無色の溶液など、肉眼で確認できないので、難しいところですが使用前は瓶を振ってから使ったり、ボルテックスをしたり、これでもかというくらいピペッティングをしましょう。
ダメ押しで20回くらいピペッティングしましょう。
正確な量を測り取れていない

操作には、ある程度適当でも結果に影響しない場合と、影響しまくる場合があります。
ピペットマンを使えば、正確な量が計り取れると信頼し過ぎてはいけません。
使っているうちに目盛がズレていたり、正確な量を吸えたとしても、全量滴下出来ていない場合もあります。
粘性が高い試料の場合、内側に試料が残ります。
それを防ぐために、滴下の順番を工夫して、とも洗いをしたり、滴下後のチップ内部が空であることを確認しましょう。

時間がかかり過ぎている
手際良く作業できていますか。
エタノールやクロロホルムなどの有機溶剤を使う場合、時間と勝負しなければいけません。
時間が経てば経つほど揮発して質量が狂う為です。
これも、揮発性の低い溶液から入れるなど、順番の工夫が必要です。
設備編
古い試薬を使っている
試薬は何度も解凍したり、長期間使用すると品質が変わります。
何度も開閉を繰り返すことで、ゴミなどが混入する可能性も高くなります。
私は古いPCRの試薬(10×EX Taq Buffer)を使っていた時は全然バンドが見えなかったのに、新しい試薬に変えたら綺麗にバンドが見えました。
これに気付くまでの期間約2週間。時間返せゴルアァって感じ。
手順や手技は問題ないのに、何故か失敗する場合は試薬を疑いましょう。
機械が壊れている

実験手順に機械が組み込まれている場合は、機械にも注意しましょう。
試薬同様、複数人がやってみて失敗する場合は、機械が不具合を起こしている可能性があります。
もう実験の失敗理由が設備の不具合だったら最悪ですね。機械シバきたくなります。
まあ諭吉が何百人も消えるのでやりませんが。
対策方法
ポジティブコントロールを常に用意する

失敗したら、どこで間違えたのか原因究明をすることが大切になります。
そんな時に重要なのが、ポジティブコントロール(ポジコン)の設定です。
ポジコンは、実験操作に誤りがないことを証明する大事なものです。
例えば、変異型で目的遺伝子をPCRするなら、比較のために野生型も同様にPCRしますよね。
加えてポジコンとして、目的遺伝子以外にハウスキーピング遺伝子のプライマーも用意してPCRをします。
分析過程(電気泳動)では、以前電気泳動してバンドが見えたサンプル(確実に成功しているサンプル)を、さらにポジコンとして用意します。
これで電気泳動をして、確実に成功しているサンプル以外バンドが見えなかったら、電気泳動には問題がなくて、PCRの段階でミスっていると分かります。
このように、ポジコンを常に用意することで、失敗した時に、原因の炙り出しが簡単になります。
実験ノートをきちんと書く

基本中の基本。
実験ノートってめっちゃ大事です。
何を書けばいいのかザックリ言うと、
- 実験方法、条件
- 計算式
- 実際に使った試料/試薬の量
- 実際にかかった時間((何分間処理したか
- 覚え書き
要は実験にまつわる全ての行動を記録するもの。
実験日記とも言えようか。
この記録に基づいて、どこで失敗したのか議論することになります。
教授に「これは何グラム入れたの?何分熱処理したの?」と聞かれて答えられなかったら終わりです。
記録がないと改善策の考えようがありません。
ちゃんと書こう。
迷ったら教授や先輩に相談しよう
これ、このまま続けてやっても大丈夫かな…って若干不安に感じたときは、勢いで突っ走らず、一度教授や先輩に相談しましょう。
下手すれば振り出しに戻るのが実験の怖いところ。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥です。

体調は万全に
お腹が空いてイライラしていたり、気が散りがちな日は実験に適していません。そんな時は、思わぬ失敗をします。
早く終わらせたいからと焦って失敗したら、結局またやり直す羽目になります。
明日から頑張ろう
最後に
誰でも失敗を経験します。1年間頑張って研究活動に取り組んでも、論文に書く内容の実験は3週間もあれば再現できるようなものだったりします。
それだけプロトコルの確立と手技の向上には時間がかかるんです。
なんせ誰もやった事がないことをするのが研究ですから。
私も一進一退、なんなら一進三退くらいして、相当精神状態がよろしくない時期がありました。
でも、そうした痛い失敗を重ねるうちに、確実に手技は磨かれるし、知識や知恵も身につくんですよね。
まさに努力の賜物。
本記事で知識をつけたなら、あとは実践のみ!



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